« DVDを読み込まない | トップページ | 猫の続き »

2014年4月 7日 (月)

猫がね……

“駐車場で死んでるよ”

 午後勤務だった昨日、終業時間が近づいたので社用車で帰社している途中、会社から携帯に電話が掛かってきました。
“多分ね、帰ってきて車止められないだろうから、今日だけ別のとこに止めていいから”
 え? 止められないって、そんなに悲惨な状態で死んでいる訳?
 わー、やだなーと思いながら帰社して駐車場へ向かうと、この車の駐車スペースに何かが横たわっている。車から降りて近寄ると確かに猫。ぱっと見どこにも外傷はない。言われなければ寝ていると思うだろう。しかし、横たわったままピクリとも動かない。
 これなら、猫を移動したら車は止められる。何で止められないなんて言われたのだろう。
 猫をくるむビニールシートを探しに荷物の発着所へ行くと、居合わせた社員が驚いた顔をする。
「えーっ! あの猫、触るんですか-!」
 猫の事は皆知っているらしい。でも、そんなに驚くほどの事じゃないと思うけど。
「えーっ! だって猫ですよ、猫。あそこへ来て死ぬなんて気味が悪いじゃないですか。死骸なんて誰も触りませんよふつー」
 気味が悪くて触れないって、それふつーなの? だから触れなくて車を止められないと思われたのか。オレ、真っ先に、死んじゃって可哀相にって思うけど。
「あんた変わってるんだよ」って言われても、あんな所に放って置くのは可哀相でしょう。寒いし、ってもう死んでるから寒くはないか。
 どこか邪魔にならないところに置いておいて、明日保健所に持っていって、始末してもらおうよ、と別の社員が用意してくれた段ボール箱とビニールシートをもって猫のそばに行く。みんなズーッと離れたところから恐る恐る見ている。

 死んでいるのは茶トラの猫。野良猫かな? 首輪もしてないし。「お前さー、わざわざオレのとこへ来て息絶えることはないだろう-。もっとどっかいい死に場所がほかにあっただろうによ」と言いながらシートでくるんで持ち上げると、ぐにゃりと柔らかい。

 柔らかい?

 死んだ直後なのか硬直していない。さらに、前肢は冷たいが後ろ肢には微かに暖かみが残っている。箱に入れると目を閉じたままでグエッと息を吐いて前肢がシートの下でカサッと動いた。
「死んでないじゃん」

 もう虫の息だが、なまじ生きていると、廃棄物ではないのでそれはそれで面倒なのだそうだ。
 結局「遺失物として警察へもっていく」事になった。
 成り行きで私が車に猫を積み、事務所の上司に同乗してもらって警察署へ。
「いやー、これは参っちゃいましたね、トランク開けたら元気になってて飛んで逃げてくれたら助かるんですけどね」と上司。だが、期待虚しく警察署に着いても猫は箱の中で動かない。
 死にかかった猫だけど、ホントに遺失物として警察で受け取ってくれるでしょうか? と半信半疑で受付へ行く。
「猫なんです」
「猫?」
「死んでいるように見えるけど死んでません」
「本当に生きているんですか?」
 はい、と下ろした箱を開くと、それまで動かなかった猫がクワッと頭を持ち上げ、恐ろしい形相でグエッと胃の中の物を吐き出した。二度、三度。出てくるのは水分だけ。お前、何も食ってないじゃん。これじゃあ腹減ってただろうに。
「ひょっとしたら、車に轢かれたのかもしれませんね」と警察の人。
 でも、外傷有りませんよ。
「いえ、外からは分からないんですよ、でも肋骨が折れたり内臓がつぶれたりしていると、こんな風に吐くんです」それで死んでしまうそうだ。そうかあ、可哀相にお前轢かれちゃってたのかぁ。

 ありがたいことに、「ウチの方で預かりましよう。近所から届けが出ていないか照会してみます」と警察署で引き取ってもらえた。
 上司と二人でホッと胸をなで下ろして帰社。
 本日の業務これにて無事終了! ってね、密かに猫の恩返しを期待したけど、吐く時のあの形相を見たら、とても恩返ししてくれそうには思えない。反対に逆恨みされるかも。しかし、あんな寒い駐車場で野垂れ死にさせなかったんだから、チャンと迷わず成仏してくれよな。……え? あ、そうかまだ死んでないんだよねゴメン。

|

« DVDを読み込まない | トップページ | 猫の続き »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/507657/59430646

この記事へのトラックバック一覧です: 猫がね……:

« DVDを読み込まない | トップページ | 猫の続き »