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2015年2月19日 (木)

オーケストラ!

 遙か昔に置いてきた記憶を蘇らせてくれた映画です。



  昔々、当時住んでいた●●市に市民会館が出来、その「杮落とし」が新東京フィルの演奏会でした。演奏曲はチャイコフスキーのバイオリン協奏曲。指揮は朝比奈隆さん、ソリストは佐藤陽子さん。その演奏会に、ひょんな事から会社をやめて一緒に仕事をするようになったSさんに誘われました。Sさんが普段口ずさんでいるのは、当時すでに昔の歌だった岡晴夫の「あこがれのハワイ航路」や、アーサーキットの「ショージョージ」と、まるでクラシックとは縁の無い人だと思っていたので一寸驚きました。私の方も音楽は好きでしたが生の演奏会、それもクラシックの演奏会など初めてです。
 その日はジュリアーノ・ジェンマ似のSさんと二人で普段着ないスーツでバッチリ決めてコンサートホールへと出かけました。
 佐藤陽子さんの長い黒髪が弦に絡みつかないかと気になったのは置いておいて、生まれて初めての、そしておそらく最後のコンサートは、そりゃあもう凄かったです。男子寮に住んでいた頃、みんなであのアンプはいいとか、このスピーカーはいい音が出るとか、ダイナミックレンジがどうたらこうたらとよく話していましたが、コンサートホールで聴く生演奏の圧倒的な迫力にはとうてい敵わないことを知りました。
 アンコールはラデツキー行進曲。曲の途中からSさんがイキナリ手拍子を打ち始めてビックリしました。 え? Sさんまだ終わってないから拍手は早いよ。ところがこれはコンサートでのお約束だったのですね。Sさんに続いて全員が手拍子で演奏に加わります。嬉しそうな演奏者と楽しそうな観客とが一体になって、堅いだけだと思っていたクラシックコンサートが実は楽しいことを知りました。

 さて、そのチャイコフスキーのバイオリン協奏曲がメインテーマの映画です。
 目指すのは究極のハーモニー。
 内容はこちらで→オーケストラ!
 製作は2009年ですから、もう6年前の映画です。でも、今まで知りませんでした(^_^;)
 ネットを検索したら、あちこちで絶賛されています。特に最後のコンサートシーンは号泣必至です。が、取りあえずこの映画はコメディーです。私が好きな「地上最大の脱出作戦」とか「アメリカ上陸作戦」といったハリウッドのコメディーとは一寸違いますが、でも面白いキャラクターがたくさん出てきて楽しいです。ま、コメディーだから「30年のブランクがある演奏者がリハーサルなしに本番で演奏する」「ボリショイ交響楽団なりすましてパリへ行く」といった無茶な設定も許してもらえるし。それに、ネタバレになっちゃいますけど、リハーサルをやったらアンヌ=マリー・ジャケが何者か分かってしまい、ラストの感動が無くなります。
 前に観た「太秦ライムライト」も余計な台詞を入れず、映像だけで見せて感動のラストシーンに持って行ってくれました。この映画のラストシーンも余計な台詞はありません。30年のブランクがある上にリハもやっていないので当然グダグダの演奏で始まったコンサート。呆れ顔のジャケと観客。しかし、ジャケがバイオリンを奏で始めた瞬間他のメンバーはその音色で彼女が誰なのかを知ります。最初、観客の方を向いてつまり他のメンバーに背を向けて演奏していたジャケは、自分のバイオリンに反応して演奏が変わったメンバーの方に徐々に向きを変え、やがて向かい合って演奏します。この時、ジャケもメンバーの演奏を聴いて自分が何者かを知るのです。そして全員が30年前に成しえなかった究極のハーモニーに向かって昇っていきます。このシーンは役者さんの表情と音だけで表現されています。素晴らしい。これぞ映画。だから映画のタイトルは邦題の「オーケストラ!」ではなく原題の「Le Concert(コンサート)」の方がピッタリだと思います。今更ながら、お薦めです。

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