音楽

2019年7月30日 (火)

SHURE SRH440用交換ケーブル

 以前購入したSHURE ヘッドホン SRH440は、主にUbuntu機で使用していますが、ネットでも悪評の付属カールコードが重くて下に垂れ下がってしまい、PCのヘッドホン差し込み口に縦に差してあるジャックが引っ張られて接触が悪くなり、音が途切れるようになりました。で、コレは拙いぞとストレートケーブルに交換する事にしました。
 しかし、正規品のケーブルは少し高くて、しかも長さが2.5Mもあります。そんなに長いのはいらないのでGotorの交換ケーブルにしました。これだと長さが1.2Mで、SONY MDR 1RMK2のケーブルと同じ長さです。しかもこっちの方が高級感があります。

Srh440_01
Srh440_03

 取り替えての使用感は最高、音はカールコードと変わらないけど、常に下に引っ張られるストレスから解放されるのがこんなに楽だなんて、こんな事なら最初からコレを買っておけば良かったと少し後悔しています。だけどケーブルを買ったら予算の1万円をオーバーするから止めたのですが、ヘッドホン差し込み口を痛めてしまったのでは何にもなりません。

 と言う事でUbuntu機のヘッドホンは一件落着。で、Windows機で使っているSONYのMDR 1RMK2が、購入したのが2014年なのでさすがに経年劣化でヘッドバンドやイヤーカップが傷み始めました。こうなったら加速度的に傷みがひどくなるので、そろそろ買い換えかなと思っています。購入候補としては、SRH440が音漏れしない密閉型なので、Windows機はオープンエアー型にするつもりです。以前と言うか大昔に、YAMAHA HP-1と言うヘッドホンを使っていて、すごく気に入っていたので、同じYAMAHAのHPH-200辺りが狙い目かな? でもデザインは今見てもHP-1の方が絶対カッコイイ。黒いヘッドバンドに白く画かれたYAMAHAのロゴとマリオ・ベリーニのサインがゾクゾクするほど素敵でした。無理だろうけど、同じデザインで再販してくれないかなー、ドライバーユニット違ってもイイから。

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2019年7月 1日 (月)

サハリンの灯は消えず、とクレープ

「サハリンの灯は消えず」は、1968年にジェノバというグループが歌ったGSとしては異色の名曲です。最初に聴いた時、エレキギターの如何にもというアーミングは嫌いでしたが、バックで控えめに流れるギターの旋律とサビ前のドラムが格好良くて、そして何と言っても敗戦で故郷(サハリン)と初恋の人を捨てざるを得なかった痛恨の思いを込めた歌詞が、数年後には同じ様に故郷を去る自分の心に痛烈に残っていました。

Youtube
サハリンの灯は消えず

 が、実はこの歌詞をずっと誤解していました。
 この曲を聴いた当時、私はクレープという食べ物がこの世に存在することを知りませんでした。だから、どうして「暮れなずむ浜辺 クレープは 淋しく赤く」「あのひとのくれた クレープは 初恋の味」と聴こえたのか不思議ですが、ずっとそう覚えていました。クレープって何だろうと思いながら。

 で、月日は流れ十数年後。まだ恋人だった頃の奥さん(記憶違いで結婚した後かもしれないけど)に「わたしが大好きなもの、ごちそうしてあげる。美味しいからきっと気に入ってくれると思う」と連れていかれたのは、近所にオープンした今で言うショッピングセンターのクレープ屋さん。

『クレープ! クレープって、ホントに有ったんだ』

 店頭で、竹とんぼのような器具をクルクル回しながらクレープを焼くオネーさんの見事な手つきと一緒に、私の頭の中で「サハリンの灯は消えず」のあの歌詞がグルグルと廻っていました。あのひとのくれたクレープ、あのひとはこうやってクレープを焼いていたのか……。
 そして、彼女から手渡されたクレープは、ハムとレタスを挟んだハムサラダ。彼女のクレープはチョコバナナ。
「チョコバナナもおいしいよ」と言われて一口ずつ交換して食べた初めてのクレープ。

 これが超絶美味しい! そうなんだ! この味が初恋の味なんだ。

 でも、違ったのです。
 更に十数年後、「サハリンの灯は消えず」を久しぶりに聴いてみたくなり、ネット検索の途中で歌詞が書かれたサイトを何気なく開いてしまい、そこで見てしまったのです。あのひとのくれたのはクレープではなくフレップだった事を。
 フレップとはコケモモの事だそうです。

「暮れなずむ浜辺 フレップは 淋しく赤く」
「あのひとのくれた フレップは 初恋の味」

 これが正しい歌詞です。

 でも、私にとってはあれはクレープで、初めて食べたクレープの美味しさと、彼女の笑顔は死ぬまで忘れない。だから初恋ではないけれど、フレップではないけれど「あのひとのくれた クレープは 初恋の味」なのです。

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2018年8月23日 (木)

ほっ

 本日は会社の健康診断。受診必須なので、休憩時間中に食事もせずに受診しました。と言うか、健康診断当日は朝から飲食してはいけないのですよね。
 ツルが折れたメガネで視力検査も受けました。が、何と! この眼鏡は視力を1.0に矯正してあるのですが、左1.5右0.9でした。裸眼だと何か右目が変な感じでしたが、左右の視力が滅茶変わっているので、その所為だったのかも。左は多分眼鏡で矯正しなくても裸眼で0.8とか0.9とかかも知れない。取り敢えず今度の休みに、眼鏡を新調します。さて、裸眼での視力はいくつなのでしょうか?

 で、昨日折れた自転車のスタンドは、健康診断が終わった後の休憩時間残り15分で、近所に有る自転車屋さんへチャルダッシュ!

バイオリンを弾く猪八戒ことロビー・ラカトシュのチャルダッシュ


 違った。チャリダッシュ! チャチャッと3分で新品のスタンドに取り替えてもらって¥2000。高いんだか安いんだか分かりませんが、これで、一安心です。会社へ帰ってくると休憩時間残り5分。これじゃ昼食の時間はないですね。

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2014年12月25日 (木)

春の川で -みんなのうた-

 以前にも書いたように、この歳になると昨日の事でさえよく覚えていないのに、何十年も前の事は昨日の事のように覚えているものです。「地獄島の要塞」の記事な書いた「脱出」と一緒に覚えていたロイ・ジェームスのネスカフェのCMみたいに。あのCMには、たしかアイスコーヒー編も有った記憶があるのですが、これは記憶違いかな?
 さてさて、これも何十年も前の記憶です。小学生の時母方の伯母が手術することになり、看病に行く母と一緒に休校届けを出して熊本に有る母方の実家へ行きました。手術は無事に成功。その時、留守番の祖母と一緒にNHKみんなのうたで聴いて大好きになった曲のタイトルがズーーーーーッと分かりませんでした。曲と一緒に思い出すのは、笑顔の祖母と、やわらかな春の陽射し。そして縁側から見た美しい田園風景。

かわのそばを あるいたら
きこえてきた はるのこえが

 うろ覚えの歌詞で検索してもヒットしません。メロディーはハッキリと覚えているので聴いたら一発で分かるのですが、画像検索はあっても音楽検索はないし。
 と、ずっと諦めていたのですが、ハタと気づきました。そうなんです「みんなのうた」のデータベースで探せば見つかるかも知れない。

 ありました。多分コレです。歌っていたのは児童合唱団だったし、作曲がワルトトイフェル。うん、スケーターズワルツに似ていなくもない。

Minnanouta_1

 早速「春の川で」で検索。しかしヒットするのは「みんなのうた」のサイトだけ。だったらワルトトイフェルで検索。

ウィキペディア エミール・ワルトトイフェル


 記事を下へ辿ると、あったー。

Wiki_1

 これはもう間違いないでしょう。原曲のタイトル「Très jolie op.159」で検索。

 あ……。
 これだ。懐かしいー、何十年ぶりに聴いただろう。
 感激!

 もう少し検索してみましたが、どうやら西六郷少年少女合唱団が歌った「春の川で」の音源はないようです。

※2016/03/31追記
音声だけは見つかったそうなので、リクエストが多ければ、映像がないので、多分ラジオで放送してくれます。

Harunokawade_nhk_778
NHKみんなのうた-春の川で-

 原曲をもう一つ。スクラッチノイズがすごいけどこっちの方が雰囲気は良いです。

Tres jolie - vals - E. Waldteufel - M. Weber y su orquesta

 何十年も分からなかった事が、たった数分の検索で、しかも自宅で分かってしまったという、それだけの事ですが、でもコレってスゴイ事なんですよね。

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2014年4月18日 (金)

SONY MDR 1RMk2

 前々から欲しかったSONYのMDR 1RMK2

 価格が二万円以上していたので手を出せなかったのですが、一万九千円を切ったので、思い切って購入しました。Jhosin で\18800也をポチッと。

 しかし、これが大失敗!!

 欲しかったのはシルバー。公開されている写真はブラックの方が多いけど、絶対にシルバーの方が渋くてかっこいい! ところが、間違ってブラックをポチってしまいました。
 それに気付いたのは発送通知のメールが届いた時。うわぁぁぁー最悪ゥ。
 ブラックもかっこいいんだけど、いいんだけど、でも音楽を聴くのって雰囲気大事だからねー。ブラックだと堅くて軽い音のイメージで、シルバーの方はヘッドバンドとイヤーパッドのブラウンが革のようで、柔らかくて重厚な感じがするし、昔”男子寮な日々”の高木さんが使っていた PIONEER SE-25 を思い出させて、いいんだよなーこれが。

 コチラはシルバーを購入された”放置プレイ”様の記事。
 ね? いいでしょうシルバー。

 ま、装着したら自分では見えないからいいんだと、諦めるしかないです。

 さっきヤマトさんに届けて頂いて、ブラックなんだよな~と、気落ちしながら梱包を開くと、高級感がある箱に入っていて、少し感激。

Mdr1r_1

 実は大きいと思っていたのですが、以外とコンパクトです。比較で並べたのは、ビックカメラの子会社になる前のコジマ電気で買った SONY MDR-XD200 確か \2780 で購入したかと。価格差は外観にもはっきりと表れています。触った時の質感も全く違います。掛けた時も上質な感じで耳にぴったりとフィットするけど圧迫感は全くありません。 MDR-XD200 の方はこの上質感はありませんがハウジングが一回り大きいので耳に当たらず、ヘラヘラに軽いので圧迫感はおろか装着感さえない、これはこれである意味優れものです。

Mdr1r_2

 耳が当たらないようにユニットを斜めにセットしてあるのは、どちらも同じ。

Mdr1r_3

 しかし、造りは雲泥の差。むしろ価格を考えると MDR-XD200 は立派。
 イヤーパッドが、そろそろヤバイです。

Mdr1r_4

 では音は価格と同じくらい差があるの?

 あります。いやー、なかったら大変ですよ、大金叩いて買ったんですから。
 ネットではエージングが必要とありますが、使い始めでいきなりいい音がでます。今まで使っていた MDR-XD200 も価格以上のいい音をだしてくれてたのですが、MDR 1RMK2 は MDR-XD200 では聞こえなかった音が鮮明に聞こえるのです。音もはっきりと分かれて聞こえるので情報量が増え、曲によっては今まで聴いてたのと別の曲では? と思えるほどに違います。オーバー一万円のヘッドホンなんて要らないと思っていましたが、この歳になって認識を改めました。音楽が好きな方には是非お薦めします。それにしても MDR-XD200 は二千円台とは思えないほどいい音してます。安いという理由だけで購入したけど、MDR 1RMK2 と聞き比べてその良さを再認識。生産終了なのが惜しいです。

 ハイレゾ対応ヘッドホンですが、ハイレゾ音源なんて持ってません。聴くのはもっぱらYouTubeから落とした曲か、Amazonのオンラインで購入したMP3です。しかし、モノラルや古い曲でもい~音で聴かせてくれます。
 明日は休みなので持ってる曲全部聴き直してみます。
 MDR 1RMK2 は、性能うんぬんの前に、音楽を聴くのが楽しくなる道具です。買って良かった。

※2014/09/29
 ソニーのサイトで生産終了になっていたので、あれ? と思っていたら新製品が発売になるんですね。MDR-1R の新機種だそうです。¥28000ですか。うーん、購入後半年で型落ちになっちゃいました。
 MDR-1RMK2 が 2013/10/25 発売ですから約一年前。ヘッドホンの製品サイクルってこんなものなのかな?

AVWatch
ソニー、MDR-1Rの解像度を高めたヘッドフォン「MDR-1A」。USB DAC内蔵「MDR-1ADAC」も

ソニー ヘッドホン公式ウェブサイト

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2007年12月28日 (金)

期末テストのXmasプレゼント

 ※この記事はクリスマス用に書いていたのですがウッカリ掲載を忘れ、時期外れになってしまいました。時代は昭和40年代、期末テストが終われば中学生最後の冬休みです。相変わらずの過去譚で恐縮ですm(_ _)m

 期末テスト最終日の朝は、鉛色の暗い空だった。この日も、親友の大竹が迎えに来て何時もの様に二人で登校した。
 途中で、早朝からジングルベルを賑やかに流しながら走る洋品店のムサシ屋の宣伝カーと擦れ違う。
 そうか、もうすぐクリスマスだ。

「ムサシ屋の赤パンツ♪安くて薄くてよく伸びる~♪ヘイ! ジングルベ〜ル♪」
 ジングルベルの曲に合わせて、この土地では知らぬ者が居ない替え歌を歌っていた大竹が突然立ち止まった。
「ムサシ屋はクリスマスっちゃあ毎年毎年馬鹿ン一つ覚えでジングルベルしか流さんばってん、社長は他の曲ば知らっさんとやろか。お前何か違う曲ば教えてやらんね」
「そやん言われたっちゃ、オレも【赤鼻のトナカイ】と【聖しこの夜】くらいしか思い浮かばん」
「なんね、そんならオレでちゃ知っとるばい。そぎゃんじゃなくて誰ぃも知らんヨカ曲たい」
「誰ぃも知らんもんはオレでちゃ知らんて。そやんかこつはよかけん、急ごうて、予習始るばい」
「おお、そうたいね。予習に遅れたら、副委員長にがらるっけんね」

標準語訳
「ムサシ屋はクリスマスっちゃあ毎年馬鹿の一つ覚えでジングルベルしか流さんけど、シャチョーは他の曲は知らんのだろうか。お前何か違う曲を教えてやれよ、シャチョーに」
「そんな事言われても、オレだって「赤鼻のトナカイ」と「聖しこの夜」くらいしか思い浮かばねえよ」
「何だよ、そんならオレだって知ってるよ。じゃなくって、誰も知らねーメッチャいい曲だよ」
「誰も知らないモノをオレが知ってる訳ねーだろうが。ンなことはいいから、早く行こうぜ予習が始まるぞ」
「お、そうだな。予習に遅れたら副委員長にどやされるからな」

 いつもは二人ともテスト勉強とは全く無縁だった。が、今回は特別の訳があった。

 オレ達のクラス担任は五十嵐という英語が担当の三十歳男で、まだ独身。だが、結婚相手が居ないわけではない。
 女子が言うには「同性としてチョット憧れる」
 男子から見ると「美女と野獣の取り合わせ」
 の国語担当の石田先生と長期恋愛中なのは校内では公然の秘密だった。本当は二人は5年前に結婚する筈だったが、五十嵐のご両親が相次いで亡くなったり、石田先生のお母さんが大病を患い入院したりして、中々結婚する事が出来なかったらしい。
 他クラスの口の悪い連中が、五十嵐がインポだから石田は結婚しないんだとか、石田は五十嵐を捨てて、とっくに別の男と付き合っているらしい、とか真しやかに口にするのを聞く度にクラスの誰もが躍起になって否定していた。なぜならクラスの皆、質実剛健を絵に描いたような五十嵐が大好きだったからだ。
 その二人が、やっと結婚することになった。
 ホームルームの後で五十嵐は、これまで噂でしか聞いたことがなかった石田先生との事をオレ達にちゃんと話してくれた。だから結婚式の日取りを聞いた時、女子の中には涙ぐんでいる者も居た。
 その日、久しぶりに放課後会が開かれた。

 新学年になって直ぐの頃。クラスのA君が他のクラスの生徒にカツあげされているらしいと噂になった時、本名は小隈だがクラスで一番身体が大きいので大熊と渾名されている学級委員長の呼びかけで放課後に全員が集まり、A君から話しを訊いた。最初は中々認めなかったが、それが事実だと判ると、直ぐにカツあげした他クラスの生徒を教室に呼んで直談判し二度とやらせない事にした。こんな事が出来たのは、この地域では番長格の室田が同じクラスに居たからだろう。それ以来、何か問題事があった時は放課後にクラスの全員が集まり、それを放課後会と称して話し合いで決めていた。

 しかし、今回の放課後会は問題事ではなく、クラスで何か結婚祝いをあげてはどうか? という話し合いだ。
 当然、全員一致で賛成。
 だが、それを何にするかで男子と女子の意見は真っ二つに分かれた。
 男子は、「五十嵐はコーヒー好きなので、皆で少しずつお金を出し合ってペアのコーヒーカップを買い、それに寄せ書きを添えて渡す」という大熊の意見に、全員が賛成した。
 それに対し女子は、様々な苦難を乗り越え、ようやく結ばれた二人に、軽々しくお金で買ったモノをあげるなんて絶対にダメだと言い張った。女子にとって二人はメロドラマの主人公に見えているらしい。だから、簡単に手に入るモノではなく自分たちで努力して手に入れたモノをあげたいと言う。
 お金を出したくないから、そんな事を言うのだろうと男子が揶揄し、努力して手に入るモノって何だ? と女子に聞いても、先生が本当に喜んでくれるモノというだけで具体的な答えが出ない。
 その時、それまで話しに加わらず離れて座っていた室田がポツンと言った。
「生徒ん成績が上がったら先生は喜ぶだろうな」
 今はそんな話しをしているのではないと皆がブーイングをあげる中、
「それよ!」と副学級委員長の井上さつきが声を上げる。
 自慢じゃないが、我がクラスの試験成績はいつも、10クラスある学年中で下位を維持していた。
「だから学期末試験でトップを取り、それをお祝いとしてあげる」
 井上はとんでも無い事を言い出した。
 うちのクラスが学年トップを取るなんて、クラス全員が死ぬほど努力しても不可能だろう。
「だからやるのよ! だから意味があるのよ!」
 お金を出して買ったもの渡したら、多分五十嵐は、君達は子供なんだから余計な気を使わなくていいんだよと言うだろうが、これなら喜んで受け取ってくれるだろう。井上の言葉に女子の目がキラキラと輝いている。
 まさかと思った男子も井上の話を聞いている内に段々目が輝きだし、あれよあれよという間に、期末試験で学年トップの成績を取る事がお祝いと決まってしまった。
 世の中には、どうあがいても止められない流れと言うものがあって、戦争が始まる時もきっとこんな感じなんだろうなと、その時黒板を見ながらぼんやりと思った。
「よし、そうと決まったら計画を立てるぞ。特に二人の担当科目の英語と国語は全員満点を目指す!」
 大熊までもが、己の意見は無かった事にして無茶苦茶な事を言い出した。
 早速、クラス全員を成績順にグループ分けし、得意科目を持つ者がそれを不得意とする者に教える方法で、休憩時間や放課後に勉強会を開く事になった。試験が終わるまでクラブ活動も休みだったので、時間は充分に有った。
 始める前は嫌だったが、始めてみると肩を寄せるようにして隣りに座った憧れの人に数学を優しく教えて貰い、数式を見ながら「だから、ここはね」と言われた時の頬にかかる息にドキドキして、実はすごく楽しかった。勉強が楽しいと思ったのはこの時だけだった。

 その期末テストも今日で終わる。最終科目は国語だ。全員の顔に緊張感が漂っている。
 始業ベルが鳴る前に
「よっしゃ、最後やけん気合いば入れていくぞ!」
 大熊が声を掛けた。
 皆無言で頷き、それに応える。全科目高得点は到底無理だが、この科目と英語だけは絶対に高得点を取るとクラス全員で誓った。
  緊張感が更に高まり、教室内は水を打った様に静まりかえった。

 だが、教室に入ってきたのは担任の五十嵐だった。試験の時に担任が自分の教室を見る事など今まで一度もなかった。
「なんで?」「どうして?」
 教室内が俄に騒ついた。
 騒ついた理由はもう一つあった。五十嵐は試験問題と一緒にスーツケースの様なモノを重そうに提げてた。
「あれは何?」
 井上さつきが隣の席から訊いてきた。

Sony01   Sony02

 五十嵐が提げていたのは、ソニーのTC-777
 通称スリーセブンと称ばれたオープンリールのテープレコーダーだ。
 この学校には過ぎたる備品だが、価値を知らない馬鹿どもが体育祭や文化祭で乱暴に扱うので、アルミダイキャストのカバーは傷だらけになっていた。五十嵐はそれを教員机の上に、いやー重かったと言いながら置いた。
「それ、試験に使うんですか?」
 誰かが訊いた。
 五十嵐はニヤリと笑う。
「いや。これは……まあ、後のお楽しみだ」
 始業ベルが鳴る。
「さあ問題を配れ」
 五十嵐の声で、最後のテストが始まった。 

 いつもなら最後の最後まで粘って答案を書き、それでも未だ書き終わらない者が半数以上居るのに、正解しているかは別にして、今回の期末テストではどの科目も全員が終了時間前に答案を記入し終えてた。最後の国語も終了までに15分を残して全員が書き終えた。回答欄に未記入は無い。
「ほう、驚いたな。もう全員書き終わったのか」
 言葉とは裏腹に五十嵐は驚いた樣子もなく嬉しそうに笑った。
「頑張った甲斐はあったという事だな」

 頑張った理由を知っている口振りだった。自分たちは秘密裏に勉強会をやっているつもりだったのだが、考えてみれば校内でやっているのだから教師に知れない訳がない。ひょっとしたら勉強している理由も、知っていたのかも知れない。

 答案用紙の回収も終わり、ホッとした雰囲気が漂う中、早速答え合わせを始める者もいたが、他の者は皆、テープが入った赤い箱から取り出したリールをテープレコーダーにセットし始めた五十嵐を、興味深げに見ていた。
 セットが終わると、五十嵐はゆっくりと全員の顔を見渡した。
「早く終わったから、時間まで寝ててもいいんだが……」
 聞いた途端、室田が机に顔を伏せたので五十嵐は、正直でよろしいと苦笑いした後で改まった顔をしてこう言った。

「よかったら、これを聴いてくれないか。これはね、ご褒美代わりと言っちゃ何だが、頑張った君達への、少し早い私からのクリスマスプレゼントだ」

 やはり知っていたのだ。みんな胸が一杯になって、テープレコーダーを見た。一体どんなメッセージが録音されているのだろうか? 五十嵐が再生ボタンを押す。

 全く予期しなかった事に、テープレコーダーから流れてきたのは音楽、それもポピュラー音楽だった。
 当時は、音楽はテレビやラジオかレコードで聴くものだと誰しもが思っていたし、教師が教室で、しかも試験時間中に生徒にポピュラー音楽を聴かせるなんて思いもしなかったので、みんな驚いてヒソヒソと囁き合った。
 だが、少し鼻にかかった甘い男性ボーカルが始まると、そんな事は忘れて歌声に聴き入った。
 室田も顔を上げている。
 初めて聞く曲に心を奪われた。

 曲が流れる中、英語が担当の五十嵐は黒板にこう書いた。

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2007年11月10日 (土)

最近ハマっている音楽

久しぶりにステファン・グラッペリのバイオリンを聽いていて、そういえばこの人はどんな顔をしていたのだろうと、顔写真を探すのにステファン・グラッペリでググっていたら、いつの間にかタキシードを着た猪八戒のようなオッサンが、私の好きな【チャルダッシュ】を演奏しているYouTUBEのページに行き着きました。

 ところが、その演奏はオッサンの容姿からはとても想像出来ない神業的演奏でして、これには驚いてしまい、顔写真を探す本来の目的がブッ飛んですっかり聴き入ってしまいした。しかも私好みの音。
 オッサンの名前は Roby Lakatos (検索しなおしてみると、いやー、有名な方なんですね。不覚にも今まで知りませんでした)。
 早速にページ右側の Related Videos をクリックしてリストアップされた全曲を聽きました。これなんか、ちゃんと和風になっているところが上手いですねー。
 速弾きのテクニックもスゴイのですが、スローな時のロマ音楽のテイストがたまらなくて、中でもこの2曲

 ロマンス

 

 

 2つのギター

 

 

 にハマってしまいました。

 

秋になると【アストラ・ピアソラ】とか【ステファン・グラッペリ】を聽いていたのですが、こらからはこれに【ロビー・ラカトシュ】が加わりました。
 などと書いていたら、もう既に立冬を過ぎていたのですね。寒い訳です。

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