2014年12月28日 (日)

燃える水平線

 大昔にNHKで放送されたラジオドラマです。パプアニューギニア辺りが舞台で、恐竜が出てきたり、海底トンネルでつながった島が動いたりと毎回放送を楽しみにしていました。橋本 力さんの音楽は今でも頭に残っています。
 実は、「橘 外男 作」というナレーションを覚えていたので、このドラマの作者は橘 外男さんだと勘違いしていました。調べたら石川 透さんでした。検索しても出ないわけです。
 もう一つ記憶にある「緑のコタン」は中山 恒さんが脚本。一緒に聴いていたオヤジがトランネの悪役ぶりに真剣に腹を立てていたのも懐かしい思い出です。

 コチラのサイト様に紹介記事があります。
幼年期の初め頃 又は注釈の多い独言→ラジオドラマ→燃える水平線

 さて、では橘 外男が原作のNHKラジオドラマって何だったのだろう?

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2007年12月28日 (金)

期末テストのXmasプレゼント

 ※この記事はクリスマス用に書いていたのですがウッカリ掲載を忘れ、時期外れになってしまいました。時代は昭和40年代、期末テストが終われば中学生最後の冬休みです。相変わらずの過去譚で恐縮ですm(_ _)m

 期末テスト最終日の朝は、鉛色の暗い空だった。この日も、親友の大竹が迎えに来て何時もの様に二人で登校した。

 途中で、早朝からジングルベルを賑やかに流しながら走るムサシ屋の宣伝カーと擦れ違う。
 そうか、もうすぐクリスマスだ。

「ムサシ屋の赤パンツ♪安くて薄くてよく伸びる~♪」
 ジングルベルに合わせて、この土地では知らぬ者が居ない替え歌を歌っていた大竹が突然立ち止まった。
「ムサシ屋はクリスマスっちゃあ毎年毎年馬鹿ン一つ覚えでジングルベルしか流さんばってん、社長は他の曲ば知らっさんとやろか。お前何か違う曲ば教えてやらんね」
「そやん言われたっちゃ、オレも赤鼻のトナカイと聖しこの夜くらいしか思い浮かばんて」
「なんね、そんならオレでちゃ知っとるばい。そぎゃんじゃなくて誰も知らんイイ曲たい」
「誰ぃも知らんもんは、オレでちゃ知らん。そやんかこつはよかけん、急ごうて、予習始るばい」
「おお、そうタイ。予習に遅れたら、がらるっけんね」
 いつもは二人ともテスト勉強とは全く無縁だったが、今回は特別の訳があった。

 オレ達のクラス担任は五十嵐という英語が担当の三十歳男、まだ独身。が、結婚相手が居なかったのではない。女子が言うには「同性としてチョット憧れる」、男子から見ると「美女と野獣の取り合わせ」の国語担当の石田先生と長期恋愛中なのは公然の秘密だった。本当は二人は5年前に結婚している筈だった。しかし五十嵐のご両親が相次いで亡くなったり、石田先生のお母さんが入院したりして中々結婚する事が出来なかったのだ。
 他クラスの口の悪い連中が、五十嵐がインポだから石田が結婚しないんだとか、石田は五十嵐を捨てて、とっくに別の男と付き合っているらしい、とか真しやかに口にするのを聞く度にクラスの誰もが躍起になって否定していた。なぜならクラスの皆、質実剛健を絵に描いたような五十嵐が大好きだったからだ。
 その二人が、やっと結婚することになった。ホームルームの後で五十嵐は石田先生との事をオレ達にちゃんと話してくれた。だから結婚式の日取りを聞いた時、女子の中には涙ぐんでいる者も居た。
 その日、久しぶりに放課後会が開かれた。

 放課後会というのは、
 新学年になって直ぐの頃。クラスのA君が他のクラスの生徒にカツあげされて困っているらしいと噂になった時、本名は小隈だがクラスで一番身体が大きいので大熊と渾名されている学級委員長の呼びかけで放課後に全員が集まり、A君から話しを訊いた。最初は中々認めなかったが、それが事実だと判ると、直ぐにカツあげした他クラスの生徒を教室に呼んで直談判し二度とやらせない事にした。こんな事が出来たのは、この地域では番長格の室田が同じクラスに居たからだろう。それ以来、何か問題事があった時は放課後にクラスの全員が集まり、それを放課後会と称して話し合いで決めていた。

 今回は問題事ではなく、クラスで何か結婚祝いをあげてはどうか?という話し合いだ。
 当然、全員一致で賛成。だが、それを何にするかで男子と女子の意見は真っ二つに分かれた。
 男子は、「五十嵐はコーヒー好きなので、皆で少しずつお金を出し合ってペアのコーヒーカップを買い、それに寄せ書きを添えて渡す」という大熊の意見に、全員が賛成した。
 それに対し女子は、様々な苦難を乗り越え、ようやく結ばれた二人に、軽々しくお金で買ったモノをあげるなんて絶対にダメだと言い張った。女子にとって二人はメロドラマの主人公に見えているらしい。簡単に手に入るモノではなく自分たちで努力して手に入れたモノをあげたいと言う。単にお金を出したくないからじゃないのかと男子が揶揄し、努力して手に入るものって何だ? と聞いても、先生が本当に喜んでくれるモノというだけで具体的な答えが出ない。
 その時、それまで話しに加わらず離れて座っていた室田がポツンと言った。
「先生が一番喜ぶ事は生徒の成績が上がる事だろう」
 今はそんな話しをしているのではないと皆がブーイングをあげる中、「それよ!」と学級委員副委員長の井上さつきが声を上げる。
 自慢じゃないが、我がクラスの試験成績はいつも、10クラスある学年中で下位を維持していた。
「だから学期末試験でトップを取り、それをお祝いとしてあげる」
 井上はとんでも無い事を言い出した。
 うちのクラスが学年トップを取るなんて、クラス全員が死ぬほど努力しても無理だろう。
「だからやるのよ! だから意味があるのよ!」
 これなら、お金を出して買ったものではないから、子供は余計な気を使わなくていいとも言われないだろう。井上を始めとして、女子の目がキラキラと輝いている。
 まさかと思った男子も井上の話を聞いている内に段々目が輝きだし、あれよあれよという間に、トップの成績がお祝いと決まってしまった。
 世の中には、どうあがいても止められない流れと言うものがあって、戦争が始まる時もきっとこんな感じなんだろうなと、その時黒板を見ながらぼんやりと思った。
「よし、そうと決まったら計画を立てるぞ。特に二人の担当科目の英語と国語は満点を目指す!」
 大熊までもが、己の意見は無かった事にして無茶苦茶な事を言い出した。
 早速、クラス全員を成績順にグループ分けし、得意科目を持つ者がそれを不得意とする者に教える方法で、休憩時間や放課後に勉強会を開く事になった。試験が終わるまでクラブ活動も休みだった。
 最初は嫌々だったが、始めてみると憧れていた人からマンツーマンで数学を優しく教えて貰えたりして、実は案外と楽しかった。勉強が楽しいと思ったのはこの時だけだった。

 クラスは活気に満ちていた。

 その期末テストも今日で終わる。最終科目は国語だ。全員の顔に緊張感が漂っている。
 始業ベルが鳴ると同時に
「よっしゃ、最後やけん気合いば入れていくぞ!」
 大熊が声を掛けた。
 皆無言で頷き、それに応える。全科目高得点は到底無理だが、この科目と英語だけは絶対に高得点を取るとクラス全員で誓った。
  緊張感が更に高まり、教室内は水を打った様に静まりかえった。

 だが、教室に入ってきたのは担任の五十嵐だった。試験の時に担任が自分の教室を見る事など今まで一度もなかった。
「なんで?」「どうして?」
 教室内が俄に騒ついた。
 騒ついた理由はもう一つあった。五十嵐は試験問題と一緒にスーツケースの様なモノを重そうに提げてた。
「あれは何?」
 井上さつきが隣の席から訊いてきた。

Sony01   Sony02

 五十嵐が提げていたのは、ソニーのTC-777
 通称スリーセブンと称ばれたオープンリールのテープレコーダーだ。
 この学校には過ぎたる備品だが、価値を知らない馬鹿どもが体育祭や文化祭で乱暴に扱うので、アルミダイキャストのカバーは傷だらけになっていた。五十嵐はそれを教員机の上に、いやー重かったと言いながら置いた。
「それ、試験に使うんですか?」
 誰かが訊いた。
 五十嵐はニヤリと笑い
「いや。これは……まあ、後のお楽しみだ。さあ問題を配れ」
 最後のテストが始まった。 

 いつもなら最後の最後まで粘って答案を書き、それでも未だ書き終わらない者が半数以上居るのに、正解しているかは別にして、今回の期末テストではどの科目も全員が終了時間前に答案を記入し終えてた。最後の国語も終了までに15分を残して全員が書き終えた。回答欄に未記入は無い。
「ほう、驚いたな。もう全員書き終わったのか」
 言葉とは裏腹に五十嵐は驚いた樣子もなく嬉しそうに笑った。
「頑張った甲斐はあったという事だな」

 頑張った理由を知っている口振りだった。

 勉強会は秘密裏にやっているつもりだったのだが、校内でやっているのだから教師に知れない訳がない。勉強している理由も知っていたのかも知れない。

 答案用紙の回収も終わり、ホッとした雰囲気が漂う中、早速答え合わせを始める者もいたが、他の者は皆、テープレコーダーの電源コードとリールをセットし始めた五十嵐を、興味深げに見ていた。
 セットが終わると、五十嵐はゆっくりと全員の顔を見渡した。
「早く終わったから、時間まで寝ててもいいんだが……」
 聞いた途端、室田が机に顔を伏せたので五十嵐は、正直でよろしいと苦笑いした後で改まった顔をしてこう言った。

「よかったら、これを聴いてくれないか。これはね、ご褒美代わりと言っちゃ何だが、頑張った君達への、少し早い私からのクリスマスプレゼントだ」

 やはり知っていたのだ。みんな胸が一杯になって、テープレコーダーを見た。

 全く予期しなかった事に、テープレコーダーから流れてきたのは音楽、それもポピュラー音楽だった。
 当時は、音楽はテレビやラジオかレコードで聴くものだと誰しもが思っていた。しかし、学校で教師が生徒にポピュラー音楽を聴かせるのは校則に反するのではないか。それもテスト時間中に。みんな驚いてヒソヒソと囁き合った。
 だが、少し鼻にかかった甘い男性ボーカルが始まると、そんな事は忘れて歌声に聴き入った。
 室田も顔を上げている。
 初めて聞く曲に心を奪われた。

 曲が流れる中、英語が担当の五十嵐は黒板にこう書いた。

続きを読む "期末テストのXmasプレゼント"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年3月28日 (火)

あいつ

 信号待ちをしている私の目の前を鮮やかなブルーのSUBARUインプレッサが駆け抜ける。
 車種は違うが、ブルーのSUBARUを見る度に私はいつも、あいつの事を思い出す。
 
 あいつは、最初に就職した会社の同期生五人の中で一番気が合う奴だった。
 あの頃は同じ社員寮に寝起きをし、週末になると同期生みんなで誰かの部屋へ酒を持ち寄り夜明けまで話しをしていた。
 寮に住んでいる社員の男女比は1対10。圧倒的に女子社員が多かったので、話題は当然の如く女と車だった。
 だが、まだ彼女が居ない私とあいつは皆の話について行けず、男の優しさとは何か、男らしく生きるとはどういう事か、そんな事を半ば当てつけ気味にヤケクソで話していた。
 車好きのあいつは、月末になるとレンタカーを借りて私達をドライブに誘った。あいつのお気に入りは、ブルーのSUBARUレオーネクーペ。
 夜中に突然思い立って、みんなで馬鹿話をしながら、あてもなく遠くまで走った。ただそれだけで楽しかった。

「最近、無断欠勤が多いのだが……」
 あいつの上司に呼ばれた。
「君は、仲が良いらしいから何か知っているのではないかね?」
「彼女が出来て変わったんです、あいつ」
 彼女とデートの日は翌朝まで帰らず、そのまま仕事にも行かない。
「あー、そう言う事か」
 その一言で上司は全てを納得した。
「私からも言っておくが、君からも注意してやってくれ。このままでは会社にいる事が出来なくなるからね」
 そんな事は言われるまでもない。私だけでなく同期生の誰もがこれまで何度も注意した。このままではダメになるぞと。しかし、彼女に夢中のあいつには何も聞こえていなかった。

 別れは突然に訪れた。
 久しぶりに私の部屋を訪ねてきたあいつが、私の名前で1日だけレンタカーを借りて欲しいと言った。
 何故自分で借りないのかと聞いたら、何度も事故を起こしたので貸してくれなくなったと言った。迷惑は掛けないから頼むと言ったが、果たしてどうだか。
 しかし、私はブルーのレオーネクーペ最上級モデルGSRを借りて約束の場所に持って行った。
 そこには、初めて見るあいつの彼女がいた。
 同じ社員だが、女子社員の数は約1000名。まだその半分以上は顔も見た事がない。

「スミマセン、ご迷惑をおかけします」
 彼女は私に向かって丁寧に頭を下げた。
 是までの経緯から、男好きのあばずれ女に違いないという私の想像は外れていた。あいつの彼女は小柄で、田舎から出てきたばかりの様に純朴そうに見えた。
「いえ、いいんです」
 会ったら嫌味の一つでも言ってやろうと思っていたのを忘れていた。

 あいつは、まるで壊れ物を扱うように優しく彼女を助手席に座らせると、そっとドアを閉めた。
「無理言って悪かったな、帰ったらこの埋め合わせはするから」
「しなくてもイイから、事故るなよ」
「すまん」


 だが、翌日になってもあいつは帰ってこなかった。

続きを読む "あいつ"

| | コメント (0) | トラックバック (0)